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天国に旅立った大切な友人

2020.08.24

乳がんと私

 

大切な友人の四十九日が過ぎて(長文になります)

 

6月下旬に私の大切な友人が天国に行きました。

四十九日が過ぎるまではと、つい先日までオフィスも自宅も彼女が好きだったピンクの花を欠かさず飾り続けていました。

 

いま、乳がんは医療の進歩や検診の普及により、年々生存率も高くなり、乳がん=死ではありません。

ただ、彼女の場合は乳がんが転移してしまって、治療をずっと続けていました。ひとつ抗がん剤が効かなくなると次の抗がん剤、また次の抗がん剤と投与をしていましたが、ついに今年の春、効果の期待できる抗がん剤が無くなってしまいました。

そして保険の効かない高額治療をするより穏やかに過ごすことを選んだのです。

 

体調がかなり悪くなるまで、彼女は同じ乳がん患者さんのためになるならと、弊社の商品のモニターやアボワールが参加するイベントのお手伝いに何度も参加してくれました。

最後に当社にお手伝いに来てくれたのは、緊急事態宣言が解除された5月後半。

コロナ渦で交通機関を利用することに加え、彼女の体が心配で何度も止めましたが、動ける間に手伝いに行きたいとの強い訴えで、それから2回来てくれました。

 

私が4月頃、京都の外郭団体に怒りをぶつけたことがあります。感染防止のため、その団体の規則で企業訪問の場合は人数を2名に抑えると決まっている中、ある部署から前例がないとの理由で4名での訪問をすると連絡が有りました。

多くの乳がん患者さんが出入りされるこの狭いうちのオフィスに。

実はこの時、この友人の事が頭をよぎっていたのです。

 

多くの方がご存知ないと思いますが、彼女のような転移や再発患者の多くは、上記のような抗がん剤治療をします。それは、転移した先の臓器に対する治療ではなく、乳がんから転移した以上、乳がんの治療として抗がん剤を続けるのです。

もし、これでコロナに感染することにでもなったら、彼女は抗がん剤で命をつないでいるのに、それを中止しなければなりません。

彼女を始め、多くのがん患者がどんな思いで命をつないでいるのかを考えられないその団体に対し、同じがん患者としてどうしても言わずにはいられなかったのです。

 

乳がんになったばかりの人は、皆さん不安です。抗がん剤治療が始まる前には不安で押しつぶされそうになる方も多くおられます。
そんな時、彼女は自分のウィッグを少しずらして「ほら、私もウィッグですよ」って笑って患者さんに言うんです。

目鼻立ちのしっかりした美人で、お化粧も映え、上品で華やかな彼女が、まさかウィッグで、眉毛を描き、つけまつげをしているなんて想像もできないくらい素敵だから、皆さん一様に驚かれます。

 

彼女は、新商品のモニターにも参加し、乳がんサロンにはしょっちゅう参加して周囲の乳がん患者さんを励ましてくれました。

 

そんな彼女が、体調の異変を訴えたのが、6月に入ってから。アボワールに行きたいのに動けないとの連絡でした。
ラインでのやりとりも途中からご主人経由になっていきました。
そして、ある日ご主人から天国に旅立ったと連絡を受けました。

 

私もスタッフも大きなショックを受け、最後に私達に何ができるのかをみんなで話しました。

まず、第一に彼女には大好きだったピンクの花をたくさんたくさんお供えしたい。

そして、彼女は中学生の時にお母様を乳がんで亡くされていたことや、コロナ渦では遠くから親族の参列もかなわないこともあり、私達乳がん仲間が彼女のお通夜と葬儀に立ち会い、彼女の家族のように側に居続けました。

 

葬儀の最後、出棺の際には、持参したつけまつげを彼女に付けてあげ、「やっぱりつけまつげがあると美人が映える」と口々に話しながら本当に綺麗だった彼女を見送りました。

 

彼女の「乳がん患者さんのためになることをしたい」という温かく強い思いは、いつまでも大切にしていきます。

私は、幼馴染や友人も乳がんで天国に召される人を何人も見送っています。

 

乳がんで命を落とす事のないような医療の進歩を願いつつ、アボワールが大好きだと言ってくれた彼女を大切に心に残し続けて、乳がん患者さんに寄り添い事業を進めていきたいと思っています。

そして心から彼女のご冥福をお祈りしています。